風力発電所から生じる超低周波音について 1

図は、和歌山県由良町TAさん宅室内における低周波音の測定結果です。風車が稼働している時から風車が止まるまでの様子が捉えられています。

 

これは、2013年5月13日の夕刻から測定を開始し、翌朝まで連続でデータを記録したものです。24時ごろから風が鎮まり始め、風車の回転が止まりました。風車が回っている時には、2Hz、3.15Hzにはっきりとしたピークがありますが、風車の停止とともにピークは消失します。図3のように、稼働中50~60dBの超低周波音が風車の停止とともに30-40dBほどに下がります。

  図1 和歌山県由良町民家室内で観察された超低周波音
  図1 和歌山県由良町民家室内で観察された超低周波音
   図3 風車稼働時から停止時までの超低周波音(2Hz、3.15Hz)の時間的推移
   図3 風車稼働時から停止時までの超低周波音(2Hz、3.15Hz)の時間的推移
      図2 稼働時と停止時の周波数分析図の比較
      図2 稼働時と停止時の周波数分析図の比較

汐見文隆氏著「低周波音被害の恐怖」(アットワークス刊)には、愛知県田原市と愛媛県伊方町の風力発電所近くの被害者宅での測定結果が掲載されています。

 図4 愛媛県伊方町風車被害者宅室内の低周波音「低周波音被害の恐怖」汐見文隆氏著 p103より
 図4 愛媛県伊方町風車被害者宅室内の低周波音「低周波音被害の恐怖」汐見文隆氏著 p103より
図5 愛知県田原市風車被害者宅室内における低周波音   「低周波音被害の恐怖」汐見文隆氏著 p95より
図5 愛知県田原市風車被害者宅室内における低周波音   「低周波音被害の恐怖」汐見文隆氏著 p95より

図4、図5ともに由良町と同じ2Hz、3.15Hzに特徴的なピークが現れています。伊方町の風力発電所は三菱重工業、田原市はGE社、由良町は三菱重工業、富士工業ですが、メーカーに関わらず、ピーク周波数は一致しています(図6:図2、図4、図5より合成)

 

風車のブレードがタワーを通過するとき、超低周波音が発生し、ロータの回転数により周波数は変わります。上記3か所の測定はおそらく20回転/min前後だったのでしょう。1/3オクターブバンドという粗い測定であるので、2Hz、3.15Hzの周波数帯で一致したものだと思われます。

 

日本であろうと、欧州や豪州であろうと、そこに風車というものが存在すれば、このように周波数のきわめて低い超低周波音が必ず発生し、それにより近隣住民は風車病と呼ばれる症状に悩まされることになります。

 

図6 各地の風車被害者宅での低周波音周波数分析図の比較

 青線:愛媛県伊方町

 赤線:愛知県田原市

  黒線:和歌山県由良町

    実線:風車稼働時  点線:風車停止時